電子ピアノとアコースティックピアノの違い
中古・新品ともにアコースティックピアノを取り扱う弊社では、電子ピアノとアコースティックピアノの違いについて、お客様からよくご質問をいただきます。
なぜ両者に違いがあるのか?
それは音を鳴らす仕組みが大きく違うからです。
この記事では、電子ピアノとアコースティックピアノの違いは何なのか?
また初めて選ぶピアノはどちらが良いのか?についてご紹介します。
目次
電子ピアノとアコースティックピアノの仕組みについて
音には、【音程・音量・音色】という3つの要素があります。
この中でピアノ演奏者の表現が特に発揮されるのは【音量】【音色】です。
ピアノ鍵盤の操作が顕著に現れるため、譜面の通りに強弱をつけたり、表現力をつける練習は音量と音色をコントロールするものと言えます。
電子ピアノの仕組み
電子ピアノは、【録音された音をスピーカーで鳴らす】というもので、音源と呼ばれる電子データが内臓されています。
演奏者が鍵盤をタッチすると、まず対応した音が音源データから引き出され、内臓センサーが鍵盤を押す長さ・強弱・速さなどを読み取り、ソフトウエアがそれに合わせた音に加工したのちにスピーカーを鳴らします。
鍵盤は「センサーのスイッチを反応させるために叩く」ものになるので、実際にスピーカーを鳴らすのは電気信号となります。
このため、演奏者の打鍵したエネルギーが音のエネルギーとして伝わりません。
しかしソフトウェアによる正確な音程はもちろんですが、音量と音色を安定して演奏できるのが電子ピアノの音になります。
アコースティックピアノの仕組み
対して、アコースティックピアノは【ハンマーで弦を叩く】音をピアノ全体に振動させるものです。
演奏者のタッチでハンマーが動き、弦の振動は響板に伝わり、ピアノ全体が振動することで豊かな音量となって響き渡ります。
また音色とは音の周波数の変化、音の波の違いでもあります。
アコースティックピアノは、直接弦を叩くことで【本来の音と異なる整数倍の音=倍音】が発生します。
この倍音が音の波形を複雑にするため、鍵盤のタッチ次第で音色をコントロールすることができるのです。
演奏者の打鍵エネルギー、コントロールが音の違いとしてはっきりと現れるのが、アコースティックピアノだと言えるでしょう。
初めてのピアノ選び 中古ピアノと電子ピアノのどちらが良いか?
自分が鍵盤を叩くタッチで、響板から響く音が変化する・音の変化を身体で感じられる。
この点がアコースティックピアノの醍醐味であり、魅力ではないでしょうか。
初めてのピアノ選びでは、この打鍵コントロールを学ぶことが上達への近道でもあります。
ただ近頃の電子ピアノは性能も良く、メーカーもより本物に近いタッチを目指して開発を進めています。
アップライトピアノなら、電子ピアノとアコースティックピアノでタッチ感の違いを感じなくなってきているのは確かです。
ピアノの打鍵で使う指の筋肉は、日々の練習で触れる鍵盤で鍛えられるものです。
そして、打鍵した「音の微妙な変化」を耳で感じ取ることがピアノ練習の楽しさにも繋がります。
より複雑な音を表現できるアコースティックピアノは、初級者の方のトレーニングにもおススメ。
自分とピアノの関係によって最適な回答は変わりますが、アコースティックピアノは【響板の響き、生の音】を感じて、音楽の楽しさを知っていただける楽器だと弊社は考えています。
電子ピアノとアコースティックピアノは別の楽器
強弱がつかないキーボードで練習している場合は、ピアノが上達するに連れて強弱表現のできる電子ピアノか、アコースティックピアノに買い換える必要が出てきます。
先ほども述べた通り近年はデジタルピアノの性能が上がり、タッチ感もアコースティックのアップライトに近い製品が出てきていますが、音の強弱や表情を付けて演奏をするには「音源を加工して再現」するという電子ピアノの構造上、演奏表現が乏しくなってしまいがちになります。
ピアノの上達を目指すのであれば、デジタルピアノとアコースティックピアノは「別の楽器」と考えるのが良いかもしれません。
音の表現力を身につけたいという場合は、始めからアコースティックピアノを購入する方が【長く使用出来るうえに上達も望める】ことは確かです。
アコースティックピアノの長所と短所
アコースティックピアノの長所
アコースティックピアノは、弾き方によって音色を自由に変えることができます。
鍵盤を押す力によって音の強弱や音色の変化が滑らかに変えられるためです。
演奏者が音の表現力を鍛える上でとても重要なポイントであり、アコースティックピアノならではの特色です。
また響板から響く音を身体で感じられる、というのもアコースティックピアノの醍醐味であり魅力ではないでしょうか。
アコースティックピアノの短所
アコースティックピアノの場合
①電子ピアノに比べて、大きく、重たい為、置く場所が限定される。
②定期的に調律する必要がある。
というデメリットがあります。
マンションの規則などでピアノの持ち込みが出来ない場合もあるので注意が必要です。
但し、
電子ピアノの長所と短所
電子ピアノは、誰が弾いてもいい音をだすことができます。
電子機器ならではといえる音量調節機能がついており、ヘッドホンも繋ぐことができるので、マンションなど大きな音をだすことができない環境でも使用することができます。
また音の種類が豊富だったり、違う場所で演奏しているかのようなリバーブ(残響効果)があったりするのも、電子音源がなせる技です。
購入後の定期的な調律が不要であることも大きなメリットです。
電子回路が壊れない限りは常に一定の音程なので調律の必要がなく、購入後のランニングコストがかかりにくい楽器だといえます。
ただし繊細に強弱の表現ができる電子ピアノを買っても、突き詰めていくとアナログの強弱表現にはかないません。
コンクールに出るのであればアコースティックピアノが良い!?
弾き方の癖は自宅ピアノが基礎になる
ピアノ教室の先生にお伺いすると、「この人は電子ピアノで練習した」「この人は弱音かサイレント機能で練習してきたな」となんとなくわかるそうです。
ピアノ教室でのレッスンは、アコースティックピアノが基本となります。
このため自宅練習で電子ピアノを使っている人は、弾き方の癖がレッスンでも現れてくるそうです。
電子ピアノやキーボードを使った練習は、アコースティックピアノ本来の音やタッチではない状態。
自宅練習で毎日弾き続けると、指の筋肉がそのピアノに合わせて鍛えられていきます。
練習するピアノの種類が違うと、その弾き方がその人本来の弾き方でなかったのに癖になってしまう…ということもあるようです。
コンクールに向けて表現力を高めるためには
自宅で練習する際、音が気になる…と音量を押さえるようなピアノを求める方もいるかもしれません。
しかし、弱音ペダルやサイレント機能は弦の響きそのものを制限します。
楽器としてピアノ本来の響きを発揮できない状態なので、音量・音色による表現力を磨くことができません。
練習時には電子ピアノや弱音ペダル・サイレントで弾いてきて、実際に弾くときは別の状態の楽器で演奏するのですから、違いが出てしまうのは当然とも言えます。
もしコンクールに出場する目標があるのであれば、どうしても弾けない環境・時間帯などを除いては弱音ペダル・サイレント機能を作動させずに練習することをおすすめします。
せっかく一生懸命練習しても、本来の楽器の演奏方法ではないために違った弾き方の癖がついてしまい、修正しようとしても時間がかかってしまうからです。
演奏技術と表現力を求められるコンクールを目指すなら、本番と同じく【アコースティックピアノ】で練習することをおススメします。
アコースティックピアノだから高い?
上達に合わせた買替のコスト
アコースティックピアノを購入する場合、電子ピアノに比べるとやや高額になりがち。
しかし、初めは電子ピアノで練習していても、ピアノの腕が上達するにつれて【電子ピアノ→アップライトピアノ→グランドピアノ】と買い替えていくのなら、最初からアコースティックピアノを購入したほうがコストが下がります。
電子ピアノのモデルによっては鍵盤の重さ・強弱表現が不十分な場合があり、弊社でピアノを購入するお客様の大半がピアノ教室の先生から買替を勧められています。
ピアノと演奏者との付き合い方で答えは変わってきますが、初めてのピアノ選びでは【アコースティックのアップライトピアノ】を購入しておくと、上達も見込める上に買い替えコストがかからず安く済ませることができます。
なお初期費用が気になるという方は、最初から新品を購入するのではなく、中古ピアノを選ぶという方法もあります。
新品のピアノに比べると比較的安価で、きちんと調整してあれば楽器として新品同様の性能を発揮することが出来るためです。
下取りに強いアコースティックピアノ
電子ピアノの場合家電製品ということもあり、10年以上前のモデルの場合、下取り時に買い取ってもらえないどころか処分料がかかることも珍しくありません。
その点、10年使用したアコースティックピアノではまだまだ使える現役ピアノとして査定されます。
ある程度しっかりとしたアコースティックピアノを購入して買い替えや不要になった際に売却をする事を検討されるのも一つの方法です。
まとめ
アコースティックピアノと電子ピアノは楽器として音を出す仕組みが異なります。
それぞれに魅力がありますが、演奏者の打鍵エネルギーが弦に伝わるアコースティックピアノは【表現力を身に着けることができる】ため初心者からの上達にはもってこいです。
弊社グランドギャラリーでは、アコースティックピアノを最初から購入することをおススメしています。
新品ピアノはもちろん、メーカー品質で調整済の中古ピアノを幅広く取り揃えております。
初めての方もぜひお気軽に来店・ご試弾いただき、アコースティックピアノの良さを体験してみて下さい。