ピアノ購入前に必見!種類別「本当に必要な設置スペース」&搬入経路の確保術
目次
はじめに
この記事の目的
「自宅でピアノを弾きたいけれど、本当に置けるのだろうか」「搬入は可能なのか」このような不安を抱えている方は少なくありません。特にグランドピアノやアップライトピアノは、そのサイズと重量から、設置場所や搬入経路の検討が不可欠です。
この記事では、ピアノの種類別に必要な設置スペースや、快適な演奏環境を確保するためのポイント、そして購入前に知っておきたい搬入経路の確認方法までを詳しく解説します。ピアノ購入を検討している方が、具体的なイメージを持って理想のピアノライフを実現できるよう、役立つ情報をお届けします。
設置スペースの重要性とは
ピアノは単なる楽器ではなく、その空間の雰囲気を大きく左右する存在です。適切なスペースを確保することは、見た目の美しさだけでなく、演奏のしやすさ、音の響き、さらにはピアノ自体の寿命にも関わってきます。また、調律やメンテナンスのための作業スペースも考慮に入れる必要があるため、事前の計画が非常に重要です。
ピアノの種類別にみるサイズと必要な設置スペース
アップライトピアノのサイズと設置に必要な広さ
アップライトピアノは、グランドピアノに比べて省スペースで設置できるため、一般家庭で多く選ばれています。
- 本体サイズ:
- 横幅: 約149~155cm
- 奥行き: 約53~68cm
- 高さ: 約110~132cm
- 重さ: 約194~270kg(成人男性3人分程度)
- 必要なスペースの目安:
- ピアノ本体の設置に必要なスペースは約1畳分です。
- 壁から背面を10~15cm離すことで、通気性を確保し、音の響きを改善できます。
- ピアノの上部には、調律作業のために40cm程度の空間が必要です。
- 左右にも、調律師が作業できる大人一人分のスペースを確保するのが理想的です。(屋根が空けられる高さ)
グランドピアノのサイズと設置に必要な広さ
グランドピアノは、その豊かな音色と表現力から、多くのピアニストに愛されています。奥行きがあるため、アップライトピアノよりも広いスペースが必要です。
- 本体サイズ:
- 横幅: 約146~160cm
- 奥行き: 約149~275cm(モデルによって大きく異なる)
- 高さ: 約99~103cm
- 重さ: 約250~500kg(成人男性3~4人分程度)
- 必要なスペースの目安:
- グランドピアノは奥行きが長いため、演奏スペースと合わせて最少約3畳分の広さが必要です。
- 鍵盤から手前には、演奏者が快適に座り、調律師が作業できる1m以上のスペースを確保しましょう。
- 左右や奥側も、壁から15cm以上離すことで、音のこもりを防ぎ、適切な響きが得られます。
椅子や演奏スペースも含めたトータルなスペース確保
ピアノ本体+椅子スペースの計算方法
ピアノを快適に演奏するためには、本体だけでなく、椅子を置くスペースも考慮に入れる必要があります。
- 椅子のサイズ: ピアノ用の椅子の幅や奥行きは様々ですが、演奏者が座って両膝を広げられる程度のゆとりが必要です。一般的に、ピアノの鍵盤の幅の中央に椅子を置き、浅めに座ります。
- 演奏時の姿勢: 鍵盤に手を置いたときに、手首から肘までがほぼ水平になる高さが理想的です。この姿勢を保つためには、椅子の高さ調整が可能なものを選ぶことが重要です。無段階で調整できる椅子が特におすすめです。
- トータルな奥行き: ピアノ本体の奥行きに加え、椅子のスペースとして60cm程度、さらに演奏中に体を動かす余裕を考えると、全体で100~120cmの奥行きを確保することが望ましいです。
ピアノ設置前に確認!搬入経路と内部寸法の測り方
玄関・廊下・ドア幅の測定のコツ
ピアノは非常に大きく重いため、搬入経路の事前確認は必須です。
- 玄関、廊下、ドア幅: ピアノ本体の寸法だけでなく、梱包材(3~5cm程度)や作業員のスペース(一人分)も考慮し、余裕を持った通路幅が必要です。最低でもピアノの最も短い辺に10cm程度の余裕を持たせた幅を確認しましょう。
- クレーン、エレベーター(2階以上):
- 搬入先の窓の前にクレーン車(目安としてごみ収集車ほどのサイズ)が止められるかや、クレーンを伸ばした先に電線がないかの確認をしましょう。
- エレベーターは、扉の幅・高さに加え、内部の奥行きと天井の高さがポイントです。グランドピアノの場合、鍵盤を下にして縦向きに運ぶことで、比較的狭いエレベーターにも入ることがあります。9人乗り以上のエレベーターであれば、アップライトピアノはもちろん、ヤマハのC5クラスまでのグランドピアノも搬入可能なケースがあります。
- 思わぬ障害物: 手すり、照明、ドアノブなどが搬入の障害となることがあるため、事前に確認しておきましょう。
ドアは「開けた状態の内寸」で測る理由
ドアの幅を測る際は、扉が閉まった状態の外寸ではなく、ドアを最大限に開けた状態での内側の寸法を測ることが重要です。ドア自体が経路を塞ぐ形になるため、開けた状態での有効な通路幅を正確に把握する必要があります。特に片開きのドアの場合、ドアノブや郵便受けが邪魔になることもあるため注意が必要です。
搬入シミュレーションと専門業者相談のすすめ
搬入に不安がある場合は、ピアノ専門の運送業者に下見を依頼しましょう。多くの場合、有料ですが、ご契約者様については無料で下見を行っております。
- 運送会社は、マンションの入口、共用廊下、エレベーター、玄関、室内廊下、設置部屋の入口(ドアの高さや幅)、設置部屋の広さなどを細かくチェックします。
- 戸建ての2階以上に搬入する場合は、クレーン車による窓やベランダからの搬入が一般的です。クレーン作業には専門の資格が必要なため、必ずプロに依頼しましょう。
- アップライトピアノは、完成した状態で搬入されます。搬入経路に余裕がない場合、窓からの吊り上げ作業など、追加費用が発生する可能性があります。
- 下見の際には、防音室の設計図面など、具体的な情報を提示すると、より的確なアドバイスがもらえます。
安心して長く使うための設置場所の工夫
温度・湿度と最低限の注意ポイント
ピアノは木材や金属、フェルトなどで構成されており、温度や湿度の急激な変化に非常に敏感なデリケートな楽器です。
- 理想的な環境: 温度15~25℃、湿度40~60%が理想とされています。人間が快適に過ごせる環境がピアノにとっても良い環境です。
- 避けるべき場所:
- 直射日光が当たる場所: 木材の乾燥によるひび割れや反り、外装の変色の原因となります。厚手の遮光カーテンなどで対策しましょう。
- エアコンやファンヒーターの風が直接当たる場所: 急激な温度・湿度変化は、弦の伸縮や木材の変形、錆の原因となり、音の狂いや雑音・動作不良を引き起こす可能性があります。風向きを調整したり、ピアノを移動させるなどの配慮が必要です。
- 湿気がたまりやすい場所: 窓際、地下室、浴室やキッチンの近くなどは、湿気による弦の錆や木材・フェルトの膨張、カビ発生の原因となります。
- 対策:
- 部屋に湿度計を置き、常にチェックしましょう。
- 夏場は除湿機、冬場は加湿器を使用し、適切な湿度を保つことが大切です。
- 床暖房の上に設置する場合は、断熱材ボードやカーペットを敷いて熱の伝導を和らげましょう。
- アップライトピアノは背面に響板があるため、壁から10~15cm離して設置することで、通気性を確保し、音のこもりを防ぎます。
設置スペース別:どんなピアノが置ける?
省スペース4畳程度で置けるピアノ
- アップライトピアノ: ピアノ本体に約1畳、演奏スペースを含めても2畳程度で設置可能です。
アップライトピアノはサイズ別による設置スペースは大きく変わりませんが、高さが110㎝台~130㎝台と異なるため、設置予定の場所の高さについてはピアノの高さ+40㎝程度を確保しておきましょう。
- コンパクトグランドピアノ: 奥行き150cm前後の小型グランドピアノであれば、3畳ほどのスペースに設置可能です。演奏スペースを含めても4畳あれば、十分に弾けるでしょう。ヤマハの「GB1K」、カワイの「GL-10」、ボストンの「GP156PEⅡ」などが代表的です。コンパクトながらグランドピアノ特有の構造や豊かな響きを楽しめます。
グランドピアノ設置イメージ
1型:奥行165㎝程度
4畳ほどのスペースに設置可能です。演奏スぺースを含めても5畳あればゆったりと演奏いただけます。2型:奥行175㎝程度
4畳半ほどのスペースに設置可能です。演奏スぺースを含めても5畳あればゆったりと演奏いただけます。3型:奥行185㎝程度
5畳ほどのスペースに設置可能です。演奏スぺースを含めても6畳あればゆったりと演奏いただけます。5型:奥行200㎝程度
7畳ほどのスペースに設置可能です。演奏スぺースを含めても8畳あればゆったりと演奏いただけます。6型:奥行210㎝程度
8畳ほどのスペースに設置可能です。演奏スぺースを含めても9畳あればゆったりと演奏いただけます。7型(セミコン):奥行225㎝程度
9畳ほどのスペースに設置可能です。演奏スぺースを含めても10畳あればゆったりと演奏いただけます。フルコン:奥行275㎝程度
11畳ほどのスペースに設置可能です。演奏スぺースを含めても12畳あればゆったりと演奏いただけます。設置シュミレーション
ヤマハの公式サイトから、お部屋に設置する際のシュミレーションが出ていますので、ご希望の設置場所とご希望のピアノに近しいサイズのピアノを置いてみてシュミレーションするとより鮮明にイメージいただけます。
まとめ
失敗しないピアノ設置のためのチェックリスト
ピアノの購入と設置は、大きな買い物であり、長く使うものだからこそ慎重な計画が必要です。以下のチェックリストを活用し、失敗のないピアノ設置を目指しましょう。
- ✅ピアノの種類と本体サイズを把握しているか
- ✅演奏スペース(椅子を含む)の広さを確保できているか
- ✅搬入経路(玄関、廊下、ドア、階段、エレベーター、窓)の寸法を正確に測定したか
- ✅ドアの開閉時の内寸を考慮しているか
- ✅搬入経路に障害物がないか確認したか
- ✅ピアノの設置場所は、直射日光、冷暖房の風、高湿・過乾燥を避けられるか
- ✅床暖房の上への設置を避ける、または断熱材で対策できるか
- ✅コンセントやスイッチが隠れないか確認したか
- ✅アップライトピアノの場合、背面を壁から10~15cm離して設置できるか
- ✅調律やメンテナンスのための作業スペースを確保できているか
理想のピアノライフ実現への後押し
ピアノは、あなたの生活を豊かに彩る素晴らしい楽器です。事前の準備をしっかりと行い、不安を解消することで、より安心してピアノを迎え入れることができます。この記事が、あなたが理想のピアノを見つけ、長く愛用していくための一助となれば幸いです。プロのピアノ専門業者や調律師に相談しながら、あなたの住環境にぴったりのピアノを選び、素晴らしい音楽ライフをスタートさせてください。

お客様の声
我が家に新しい響きをもたらしてくれました。
留学時代の恩師も、来日の際に弾きにいらして下さり、お墨付きを頂きました。グランドギャラリーでの出会いを大切にしていきたいです。
東京都 スタインウェイ B211

専任スペシャリストがサポートします。リモート相談、ライブでピアノの音色と映像を確認できます。
グランドギャラリーの専任スペシャリストがピアノに関するお悩み事の解決をサポート。カテゴリー別でピアノ選びもカンタン。ご自宅に居ながら、ビデオ通話や動画を通じて、ピアノの状態や音色をご確認頂けます。
その他、技術、物流、税務など各部門のスぺシャリストがサポートします。